今を生きる現代女性の美しさを、
彼女たちが心に描く、繊細でしなやか、
そして時に力強い風景と共にご紹介する
COLUMN of COLUMN。
日常のさまざまな角度から、
美の解釈を映しだし、
COLUMNを通してその女性の輝きが
宿る瞬間に触れる時間。

鎌田安里紗(一般社団法人unisteps共同代表理事) Instagram

“多様で、健康的なファッション産業”を目指し、一般社団法人unisteps共同代表理事として活動されている鎌田安里紗さん。

学生時代にアパレル販売員やモデルを経験したことで、ファッション産業のあり方や、ものづくりの現場に関心を持ち、いち早くサステナビリティを推進する活動に携わっていく。そんな鎌田さんに、私たちがすぐに始められるサステナブルなライフスタイルの秘訣をうかがった。

Jacket ¥70,400
Cut&Sewn ¥26,400
Pants ¥41,800

「オールホワイトの着こなしは、私にとっての正装。クールな装いが好きなので、COLUMNのセットアップはすごく好みでした。タンクトップもパターンが面白くて、おしゃれのアイディアが広がりますね」と鎌田さん。徳島に住んでいた中学生ごろからファッションに興味を持ち、雑誌のスタイリングを真似していたそう。

「高校進学で上京したのは、欧米で人気のファストファッションブランドが日本に初上陸したタイミング。当時はコーディネイトこそがファッションだと思っていたので、最新のトレンドを取り入れた商品を大量生産による低価格で手に入れられるファストファッションを愛用していました」。

Dress ¥63,800

服好きが高じて、雑誌でモデルをしたり、週末にはアパレル販売員としてアルバイトをスタート。

「中国や韓国に買い付けにも行きました。ただ競合他社との商品のかぶりや価格競争の問題が勃発するうちに、自分の中に疑問が生じてしまって」。すでにフード業界ではフェアトレード、オーガニックなどのキーワードが出だしたころ。じゃあファッションはどういう仕組みになっているんだろう?と自ら調べ始める。この一連の行動が、今でいうサステナビリティやエシカルな活動へと鎌田さんを誘っていく。

「自分で工場を見学してみると、糸の撚り方、生地の織り方、染色、縫製など、ものづくりの現場の面白さに夢中になりました。一着が出来上がるまでにはさまざまな工夫が積み重なっているという事実を知ると、納得してリスペクトできる商品を選ぶようになる。服ができる過程、デザイナーの意図、価値観など生産背景を深く理解して洋服を着る、そんな新しいファッションの楽しみ方を知りました」。

鎌田さんが目指している“多様で、健康的なファッション”とはどういう状態なのだろうか?

「大企業ほど説明責任が大きいので、サステナビリティは必須課題。予算もあるし、最先端の素材開発に取り組めるのも大手ならではですが、面白いものづくりをしているインディペンデントな会社こそ支援しなければ、ファッション業界は魅力を失いかねません。
今後、ファッション産業でサステナビリティを推進していくためには、法律や政策、企業同士の連携など、大企業や行政とシステムを構築していくことが必要。また、デザイナーやクリエーター向けのアワードや教育プログラムにも取り組んでいます。クリエーションにおいては彼らの意思決定が重要なので、サステナビリティの概念や面白さを知ってもらうことは、とても重要なんです」。

Cut&Sewn ¥26,400
Pants ¥44,000

現在は、講演やトークイベントに加え、服の製作過程を見に行くスタディツアーも開催。

「直近では、広島、岡山のデニムの産地と、タイのバンコクで木材由来のテンセルという素材を作る工場を見学。服の原料となるコットンを種から自分で育てる参加型のプロジェクト『服のたね』の運営をしています。5月に種まきしてしても、収穫できるのは年末。時間や手間をかけた真摯な製作現場やものづくりのプロセスを実際に体験することで、値段の正当性に納得できるようになります」。

自分の中に揺るぎない芯をもちながら、可憐にしなやかに社会を巻き込んだ変革を起こそうと尽力されている鎌田さんは、COLUMNが描き出す聡明でやわらかな女性像そのもの。そんな彼女が理想とするのは、“自分で考えて自分で決めている人”。

「時には人に頼ることも必要ですが、大切なことは自分で決めないと人のせいにしたり、文句を言ってしまう。食事や服、日々の小さなことから、職業選択のような大きなことまで、自分にとって何が心地よいのか感じ取って決断することが大切。モノに限らず、言葉や態度でも、受け取らなくていいものは毅然と受け取りを拒否していいんです。それは自分を守ることにもつながります」。

Jacket ¥70,400
Cut&Sewn ¥26,400
Pants ¥41,800

私たちにできる身近なサステナビリティの第一歩は、本当に長く愛せる上質な買い物をすること。

「オススメは、店頭で買い物する際、値段を最後に見ること。セールになっているとお得感から何となく買ってしまい、結局無駄になってしまうことも。同時に、不要なものに対してNOを言えることも大切です。おまけのギフトや過剰な包装など、必要がなければ『ありがとう、でも大丈夫です』と断る勇気が必要。ちょっと緊張するくらいの金額で頑張って買ったものの方が、テンションもあがりますし大切にしようとする。ものの適正価格は人によって違いますが、その人にとって気軽に買えてしまう、そこまで必要でないものを安易に買わないことが重要です」。

「一般的に女性の方が消費スピードが速いと言われています。男性に比べてトレンドや買い替えのサイクルが早い上に、外見に対するプレッシャーも大きいと思います。いつも小綺麗にして、毎日違う服を着ないと。たくさん買うなら安くないと。このサイクルに入ってしまうと、数回着たら手放し、服を使い捨てるようになってしまう。周囲のプレッシャーによる買い物をする必要はありません。
逆にお気に入りの服ならずっと着ていてもいいし、好きならトレンドに挑戦してもいい。COLUMNではモダンでタイムレスなワードローブを提案しているので、ぜひ本当に欲しいものを選びとる訓練をしてみてはどうでしょうか。まずは小さなところから、自分も社会を変える選択をしていきましょう」。

鎌田 安里紗

Profile
一般社団法人unisteps共同代表理事。1992年、徳島県生まれ。高校在学時よりアパレル販売員とモデルを始めたことをきっかけに、ファッション産業のあり方、特にものづくりの現場に関心を寄せる。2009年より、衣服の生産から廃棄の過程で、自然環境や社会への影響に目を向けることを促す企画を幅広く展開。種から綿を育てて服をつくる「服のたね」、生産現場を訪ねるスタディツアーなど。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了。博士(政策・メディア)。